敷金が原則返金に!民法改正はいつ?

賃貸物件の原状回復と敷金については、民法の改正が進んでいます。

実は現在の民法は120年前の明治時代に制定されたものであり、部分的な改正は行われているものの現代社会に対応しているとはいいづらい点、表現などがわかりづらい点などが多いなどの問題がありました。

それが2015年3月、民法改正案が提出されることになり、現在抜本的な改正の方向で進んでいます。

民法の改正によって、敷金と原状回復については「賃貸物件の返還を受けたときに変換すること」と義務化されます。もちろん、通常仕様での範囲においてです。

しかし、経年劣化の範囲内であれば原状回復義務がないこと、敷金は原則返金してもらえることが明文化されることとなります。たとえば壁紙などは、6年も住んでいれば償却期間を終え、下地のボードにさえ影響がなければ多少破れたり落書きがあったとしても「経年劣化の範囲」として負担せずに済むでしょう。今まであいまいになっていた契約が、法的に保証されることになります。

とはいっても、まだ改正案は可決されているわけではありません。可決はほぼ確定という推測がされているだけで、可決の後に法律の交付、交付の後に法律の施行、という過程を経て初めて法律として効力を発揮するものです。つまり、現時点では「法律が改正されたので、通常使用の範囲ということで敷金が返却してください」とは言えないのです。施行時期は2018年が目途とされていますが、まだいつになるかはわからないというのが現状です。

法律不遡及の原則に注意

また、注意しなければならないのは、法律不遡及の原則です。難しい言葉ですが、要するに法律は過去にさかのぼって施行されないとうことなのです。民法が可決、交付、施行をされたとしても、それ以前に入居の契約をしたものは、原則入居当時に交わした契約が適用されてしまいます。改正された民法に配慮してくれる大家さんならば良いのですが、基本的には施行された以降に契約した賃貸物件でしか、法的な拘束力はないということを覚えておきましょう。